褐色の白ワイン
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■ 自然派の造る褐色の白ワイン |
イタリアの「自然派」と呼ばれる造り手のワインたちの中には通常の白ワインの常識からは大きく外れる、褐色をしたワインがあります。「白ワイン」のカテゴリーに入れるのはためらわれるけども、もちろん赤でもロゼでもない。グラスに注ぐと品質不良?と疑われるような色あいです。 |
そもそも、なぜこのような色になっているかというと、マセラシオン(かもし)をすることで果皮から色素が果汁に移るということもありますが、もうひとつは開放槽による醸造と長期間の熟成の中で酸化が進むことによりこのような色になっていくのです。例えば、フリウリのラディコンは木製の開放発酵槽でマセラシオンをアルコール発酵の最初から最後まで行います。その後3000リットルの大樽で24ヶ月間熟成、ノンフィルターでボトリング。そしてゆっくりゆっくり熟成を続けます。自然派の造り手みんながみんな同じ造り方をしているわけではありませんが、健康なブドウだけを使うことで(通常のワイナリーがいうところの「健康」のレベルとは激しく違うレベルだと思います)、温度管理をせずに発酵とマセラシオンを行ってもブドウが負けず、造り手の考えるワインの姿になっていく。その結果が白ワインなのに白じゃないということなのだと思います。 色あいだけでは劣化していると言われる恐れもあるワインたちですが、複雑で奥行きのある香りと味わいの深み。広がりのある味わいと苦味など、けっして劣化しているものではなく、ワインそのものの個性を感じます。実際、透明なグラスだとその色を見て敬遠したり否定してしまう人にも、黒色のグラスで色味がわからない状態で飲んでもらうと「初めて飲む味、旨い!」となり、さらには白ワインだと思わない人も多いとか。 この美しい褐色の白ワインたち、実はこう見えて?「濃いのに軽い」のです。ストラクチャーもあって味もしっかりあるのに、不思議にすーっと飲み続けられてしまいます。赤しか飲まない、という人、普通の白では物足りない人、面白いイタリアワインに興味のある人はかならずやはまってしまうかと思います。褐色の白ワインを造る造り手たちはワイン造りに対する独自の哲学、思想を持っています。その哲学がいいとか悪いとか、そういうことを抜きにしてこの褐色白ワインを楽しんでみてください。イタリアワインの世界が広がること間違いありません。 |